この記事では、AEC Referenceブロックについて紹介します。
対象製品
- ControlSpace Designer
- ControlSpace EX-440C
- ControlSpace EX-1280C
- ControlSpace EX-12AEC
各アコースティックエコーキャンセレーション(AEC)ブロックには、関連付けられたAECリファレンスブロックがあります。AECの目的は、マイクの音声を処理して、スピーカーから再生されるの音声をマイク信号から除去することです。これを行うため、どの音声信号がスピーカーから送られたものかをAECで判別する必要があるため、スピーカーから再生される音をAECリファレンス入力を介してAECアルゴリズムに入力します。AECアダプティブフィルターは、AECリファレンス信号を使用してルームインパルス応答を生成します。このルームインパルス応答は、マイク信号からスピーカーの再生音を除去するために使用されます。
このため、スピーカーに送る信号に加えた信号処理をAECリファレンス信号にも反映することが重要で、特にダイナミクス処理が使われる際には注意する必要があります。コンプレッサーやリミッターなど、ダイナミクス処理のオブジェクトでスピーカーから送られる信号に変更を加えた場合、または、AECリファレンスに変更を加えずに、スピーカーの音量をコントロールした場合、このスピーカー信号とAECリファレンスとの差異により、AECアルゴリズムによるルームインパルス応答の再調整、およびAECアダプティブフィルターの再プログラムが必要になります。これは、一般にAECコンバージェンスの消失と呼ばれます。Far End側で話をしている際にこれらの変更が発生した場合は、AECアルゴリズムによるAECアダプティブフィルターが新しい条件に対して再度コンバージェンスするまで、Far End側の話し手には自分の声のエコーが聞こえます。
スピーカー出力のレベルがコンプレッサーにより継続的に変化していて、AECリファレンスが同様に変化しない場合は、AECアルゴリズムが変化に追随することができなくなります。このような場合は、スピーカープロセッシングとまったく同じプロセッシングをAECリファレンスに適用することが重要です。